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村野四郎
2009/02/28 18:58:43 ブログカテゴリ 日常 | 書庫 全般

東京での拠点、三鷹は武蔵野のの面影残る場所で落ち着いた地域です。東京でありながらどこにも属さない独特の雰囲気があり、かつては、日本を代表する文壇や作家が生まれ、集った場所でもあるのです。

天皇・皇后両陛下も時々お越しになる由緒ある土地柄でもあり、前にも紹介しましたが、三鷹の由来は徳川御三家、尾張・紀州・水戸の各徳川家の鷹狩りの場所として一般人には中々立ち入る事の出来ない場所でした。

さて、三鷹限定ではないのですが、武蔵野で活躍した詩人で「村野四郎」という詩人を紹介します。






村野四郎はドイツ近代詩に影響された、リアリティに富んだ作風で、実在主義というスタイルを確立した詩人で1975年3月2日に亡くなった詩人です。


村野四郎の作品はある種独特の「残忍さ」というのがあります。作品に登場する動物や物が擬人化され、読んでる人の目線になっているという現実を突きつけ、思考させるのです。

好みもあるでしょうが、何種類か紹介しましょう。











さんたんたる鮟鱇

       へんな運命が私をみつめている リルケ

顎を むざんに引っかけられ
逆さに吊りさげられた
うすい膜の中の
くったりした死
これは いかなるもののなれの果だ
見なれない手が寄ってきて
切りさいなみ 削りとり
だんだん稀薄になっていく この実在
しまいには うすい膜まで切り去られ
もう 鮟鱇はどこにも無い
惨劇は終っている

なんにも残らない廂から
まだ ぶら下っているのは
大きく曲った鉄の鉤だけだ

*鮟鱇・・・アンコウ ですよ。。


鹿


鹿は 森のはずれの
夕日の中に じっと立っていた
彼は知っていた
小さい額が狙われているのを
けれども 彼に
どうすることが出来ただろう
彼は すんなり立って
村の方を見ていた
生きる時間が黄金のように光る
彼の棲家である
大きい森の夜を背景にして

この詩は瞬間の「生」に光を当てているものです

放心状態から無に・・・

まさに射たれようとしている鹿の、虚脱感、恍惚、感動的ニヒリズムを詩的に描くことによって、
その状態に置かれた < 生きもの > の悲哀を静の世界に凝縮しているすぐれた作品です。














昆虫採集箱

小児の貪らんは日々につのり
(--かくして稚いゆめは食われ--)
数多い 小さい理解の犠牲者が
日にうつくしい意外となって並列べられる


おさない手が青い留針を持って
美しいものの脊から胸へと刺しつらぬく

小さい科学者よ
防腐剤を忘れるな!せめて腐らぬ様に--





時には時事物もいいですが、文学の本を読んでみるのもいいもんです。














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